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ある日、うちの会社に飛び込みで営業マンがやってきた。

話を聞くと防犯や警報等のセキュリティ系の会社のようだった。

めんどくさいのがやってきたなぁ、と思いつつ奥の部屋にいる社長に事の次第を伝えた。




「社長、今●●セキュリティサービスの方が営業にいらしているのですが」


「ん?いないって言っておいて」




うちの社長は、飛び込み営業を全く相手にしない人だった。

出て行くとめんどくさくなる事を知っているからである。

私は再度窓口に戻り社長が不在なので帰るよう営業マンに伝えた。




「そうですか…ではまた日を改めてお伺い致します」




そう言うと、営業マンは商品のカタログを私に渡して帰っていった。

彼のがっくりと肩を落とした後ろ姿はなんとも寂しげであった。

しかし、いまどき飛び込み営業とは原始的すぎやしないか

このやり方で契約が取れているのだろうか。

私は営業マンの背中を見ながらそんな事を思った。

バブル時期のような羽振りの良い時代には契約も取れていたのであろうが、

このご時世だ。どこの馬の骨かもわからんような企業と多額の契約を取り交わす会社など

あるはずもない。





おそらく彼は一日に何度も何度も門前払いをくらい、契約が取れなければ上司から怒られ、

休みもなく、家に帰れば奥さんから給料が少ねぇだなんだと愚痴愚痴言われているに違いない。

私は、貰ったカタログを見つめながら涙がこぼれそうになった。




「帰った?」




振り返ると、いつの間にか私の後ろに社長が立っていた。




「あ、はい。カタログを置いて帰られました」


「そう、なんて言うセキュリティ会社だったっけ?」


「えーっと、●●セキュリティってところですね」



私は、そう言いながら貰ったカタログを社長に手渡した。

すると、社長はパラパラとカタログを見ながら突然こんな事を言い放った。






「今晩は戸締りに気を付けないとな」






私は最初、この言葉の意味がわからなかった。

一体この人は何を言っているんだろう、そう思っていた。

しかし、社長が私を見てニヤリとしたところで、ハッとした。

社長は笑いながら「冗談冗談」と言っていたが、

私はしばらく開いた口が塞がらなかった。




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―――ある別れ話の一節

「わかってるの、悪いのは私の方だって事は…。あなたといるとね。落ち着くし、本当に好きだよ。でもね、それって…お兄ちゃんを好きって気持ちと同じだって気づいたの…」





これは、私が大学生の頃付き合っていた女性から言われた別れ話の一節である。

皆さんは、この一文をご覧になってどう思われただろうか?

どうせおまえが情けない男子だったんだろ、と思ったのか、はたまた、

なんてわがままな女子なんだ、と思ったのか。



おそらく大概の方が、前者的な感想を持ったと思う。

どういう付き合い方をしたらそんな振られ方をするのか、

情けないのは気持ちというより、粗品的なアレの方だったんじゃないのか、

そう思われたと思う。



今となっては事の真相を知ることはできないが、

この当時の私はこう思っていた。

彼女にとって私が「お兄ちゃん」という存在である限り、

私は「妹」である彼女と付き合ってはいけないのだ、と。

無意識的にそう思っていた。





だって兄妹で付き合っちゃいけないからね。





お兄ちゃんというフレーズは相手があまり傷つかないし、しかもその原因を相手に転嫁できる。

男性側はお兄ちゃんという言葉を聞くと不思議と自分に責任があるように感じてしまう。

実際の原因が女性にあったとしても、お兄ちゃんというフレーズに妙に納得してしまうのだ。


 

しかし、もしこれが男女逆の立場だったらどうだろう?





「わかってるよ。悪いのは俺の方だって事は…お前はすごく暖かくて、すごく優しい。お前といるとホントに落ち着くよ。今でも好きって思う…でもな、それって…お姉ちゃんを好きなのと同じ感覚なんだよね…」




いやいやいやいや。

付き合っている彼女に「お姉ちゃんみたいだから付き合えない」って、そんな別れ文句はないよね。

一部の方を除いて「お姉ちゃん」と「彼女」は絶対に結びつかない。

「お兄ちゃん」と「彼氏」も同じだ。

付き合う前の段階ならまだしも、少なからず半年以上は付き合った後に

お兄ちゃんみたいだから付き合えないってありえないでしょ。

おそらく彼女が私に言い放った「兄妹みたいだから付き合えない」

っていう別れ文句はウソだったのだと思う。




いずれにせよ、今更どうこう言っても私がふられたのは紛れもない事実で

その当時の彼女が返ってくるわけでもない。

もちろん後悔なんて微塵もないわけだが、今回の話で唯一残念なのが

私が一人っ子だという事である




 
 
 
私と「彼女」との付き合いは、あくまで仕事上での付き合いだった。

ある時は、材料の発注であったり、ある時は書類の提出願いだったりと、

いわゆる業務的なやりとりをかわすだけであった。




彼女との、このやりとりは入社以来6年間続いている。

建築業という仕事柄、急な依頼などが少なくないのだが、

取引業者の事務員である彼女はいやな態度をする事もなく、

いつも献身的に協力をしてくれている。

そして、このやりとりは全て「電話」で行なわれている。




「お電話ありがとうございます!〇〇産業の細川田りさ子です」




語尾に「☆」がつきそうなテンションの彼女は、いつも明るく元気だった。

なぜいきなりフルネームを名乗っているのか謎ではあるが、

特筆すべきは電話越しに聞こえる彼女の声なのである。

これがまた、そっくりなのだ。




「ほしのあき」の声に。




ちょっと鼻にかかった声と、テンションの無駄な高さ。

最近露出が減っているので、ピンと来ていない方が多いかもしれないが

まさに彼女の声は「ほしの」にそっくりだったのである。

私はこのタイプの声が嫌いではない。




私は、そんな彼女の声を聞けるかと思うと、

大して必要のない材料を注文してみたり、わざと注文数を間違えてみたり、

と変態丸出しで彼女に電話をかけていた。

そして私は彼女の声を聞いていくうちに妄想がどんどん膨らんでいった。




もしかしたら顔もほしのあきに似てるんじゃないか、とか

実は水着で電話してるんじゃないか、とか

下手すると水着も着てないんじゃないか、とか

とにかく彼女が一体どんな顔しているのか、

声と同じようにほしのあきに似ているのか、非常に気になっていったのである。





そこで私は、彼女の事を良く知るという会社の先輩に、

彼女がどんな顔をしているのか聞いてみた。

するとこんな答えが返ってきた。




「顔は柴田理恵に似ているよ」




なんとなく嫌な予感はしていた。

声はかわいいのに、容姿が残念な女性とか結構いるし、

期待しすぎると、ショックがでかくなると思っていたから

ある程度の覚悟もしていた。

しかし、私の受けた精神的ショックは相当なものだった。




まさか、おばさんだったとは・・・




現在も、彼女とのやりとりは続いている。

これからも変わることはないだろう。

私の彼女への応対がちょっと無愛想になった気がしないでもないが、

私はそれでいいのだと思う。




バブル時代も今は昔。

現在の社会は、我々サラリーマンにとって非常に風当たりの強い時代に突入しています。

私たちはそんな時代を体一つで生き抜かなければなりません。

一応、私も社会人のはしくれです。

完璧ではなくとも、志だけは高く持ち続けたい、そう、常々思っているわけです。



もちろん小難しい話をする気はさらさらありません。

コンビニでこの類のビジネス書を読むようになってから、そんな気になっているだけであって、

とにかく、時間が許す限りビジネス本をよく読んでいるという事です。




もちろん買いません。

立ち読みで、しかも仕事中に済ませてしまう事が少なくありません。

この時点で、社会人として失格しているという事は自覚しているわけですが、

私が皆さんに伝えたい事はそんな事ではありません。



「危機管理」という言葉をご存じでしょうか?

いきなり本題に入りましたが、この危機管理という言葉はどのビジネス本にも必ず載っている

超重要ワードなわけです。

意味はそのまま。危機を管理する事です。




仕事をされている方なら「スケジュール管理」という作業は常日頃行っていると思います。

月単位から始まり、それを週単位に細分化し、さらに一日、時間単位と事細かに

予定をたてらていると思います。私はしていません。




「危機管理」というのは、そのスケジュール管理の一つ二つ先を読む事です。

つまりはスケジュール管理で行った時系列的な予定の中で起こりうる

危険(リスク)を予見し、またそれ回避する為に行う「先手」的な管理の事。

ざっくりとこんな感じです。




一つ例を挙げて考えてみると


+++++++++

 朝、部屋のそうじ

 昼、買い物

 夜、食事(外食)

+++++++++


みたいな予定があった場合、

8時に部屋のそうじを始め洗濯物まで干しておく、

12時にはスーパーのタイムセールに間に合うよう買い物に出かける。

夜は18時に予約してある夜景の見えるイタリア料理屋でささやかなお食事会をする。

というのが「スケジュール管理」




一方「危機管理」というのは、

掃除の途中でアルバムを広げて作業が中断してしまわないようにする為にはどうしたらいいか、

タイムセールで商品を取り損ねないようにするにはどうしたらいいか、

料理を注文する際メニューが全てイタリア語だった場合どうやって切り抜けるか、

を事前に考えておく事になります。




よくありますよね。

掃除中にアルバムや写真を見出してそれが止まらなくなり、全然部屋が綺麗にならないとか、

タイムセールに行っておばちゃんのヒップアタックに吹っ飛ばされて前にいけないとか。

そういった事態に陥らないよう、写真を破り捨てて見れないようにするとか、

ヒップアタックに負けないよう足腰を鍛えるとか、

前もってしておく事が重要だという事が言えるんですね。





まとめると、危機管理とは、社会人として必要かつ不可欠である事は間違いなく、

むしろ至極当前の行為として身に付けるべくスキルなのである。

この手の本に9割がた登場するこの危機管理というフレーズはまさに、

ビジネスブック界のモーガンフリーマンと言っても過言ではない。

なんて、わかりづらい例えを妄想しながら

コンビニでビジネス書を立ち読みしていた私なのでありますが、

ソレもつかの間、ふと顔を上げると、ガラス越しに見えるのは、なんと上司の車。




そうか、危機管理を怠ると、こういう事態に陥ってしまうのか、

昼休み後1時間もコンビニいると、こういう事態に陥ってしまうのだな、

と身を持って危機管理の大切さを実感した私だったのであります。



私は、お昼にお弁当を買って食べる事が多い。

そのほとんどがコンビニ弁当なのだが、そことは別に

週に一回必ず利用している「お弁当屋さん」がある。

かれこれ1年くらい通っている。

そのお弁当屋さんは、チェーン店でもなければ行列ができるような人気店でもない。

逆にちょっと小汚い感じすらある個人経営のお店である。





私はそのお弁当屋さんで必ず「から揚げ弁当」を頼んでいる。

から揚げは、ジューシーな鶏肉にカリカリでサクサクのころも。

その脇にはポテトサラダにスライストマトなどが添えてある。

至ってノーマルなカラ揚げ弁当ではあるが、味を知っている私は、

この記事を書いているだけでよだれがジュルリとなってしまう。

本当においしいお弁当なのである。




このお弁当屋さんは、主に2人できりもりしている。

一人は全ての弁当を作っている店長さん。

そしてもう一人は、レジ係の金さん、

この話の主役である。




「いらしゃいませ!」

中国出身の金さんは、私が店内に入るとちょっと違和感のあるイントネーションで挨拶してくれる。

そして、お客が私だとわかると「はい。からあげ弁当いっちょうね」と、

何も言わなくてもから揚げ弁当を準備してくれるのだ。

注文が非常に楽だ。「はい」と言うだけで良い。

1年間ずっと同じ弁当を注文し続けた結果、私が何を頼むか覚えてくれたのだ。




金 「きょうもあついねぇ!」

私 「そうですね。何か30度超えるみたいですよ。」

金 「まぁわたしみせいるからすじゅしい(涼しい)けどね!」

二人「ははは」




独特なイントネーションはあるものの日本語はほぼ完璧に近い金さん。

ただ会計を済ませるだけでなく、こんな冗談まで私にサービスしてくれる。

毎回ではないが、こんな感じで話しかけてくれるのも客として嬉しいものだ。

そして会計が済むと決まって

「ありがとうございました!おしごとがんばってください!」

と、言ってくれるのだ。

愛想と言ってしまえばそれまでだが、マニュアルなどありそうもないこの店で

ここまでは客に気遣える店員がいるだろうか。

私がこのお店を気に入っているのは、から揚げ弁当がおいしいからという理由だけではないのである。




ある日の事。

いつものように弁当を買いにきた私。すると、金さんの様子がいつもと違っていた。

「いらしゃいませ」のテンションが低い。

なんだろう、いつもの突き抜ける明るさがない気がする。

なんかあったのだろうか、非常に気になったのだが、

何となくプライベートな話のような気がして特に話しかけたりする事はしなかった。




次の週。

私がお店に入ると金さんの明るく元気な声が店内に響いた。

私は先週の事が頭の片隅にあったので何となくほっとした気持ちになった。

先週は調子が悪かったかなんかだったんだろう、

そんな事を思いながら店の奥にあるお茶を取りレジに向かった。

しかし、金さんは弁当をつめている間、不意にこんな話を切り出してきた。




「わたしちゅごくにかえるようになったんです。」




あまりに突然の話だった。

私はこの突飛な展開に一瞬混乱した。先週テンションが低かったのはこのせいだったのか。

金さんに話を聞くと中国に帰るのは本当らしかった。

ただ中国に帰る理由についてははっきりとは教えてもらえなかった。

言いづらい事だというのは察しがついた。





「寂しくなりますね。」私がそう言うと、

金さんは何ともいえない表情で「へへ」と笑った。

そして、私は金さんからお弁当を受け取ったあと

「ありがとう」とだけ言い残し店をあとにした。

店を出た後、ちょっと気になり後ろを振り向くと、金さんと目が合った。

私は笑いながら会釈した。

それを見た金さんは笑いながら少し大きめにお辞儀をしてくれた。




これが金さんと私との最後である。

今考えるとちょっと素っ気無かったかなぁと思う。

至極平静を装っていた私であったが、内心はすごく寂しかったし

もっと色々話たい事もたくさんあった。

「また会えるといいですね」くらいは最低でも金さんに伝えておきたかった。

でもそれができなかった。

私は「あくまで客と弁当屋」みたいに境界線を引いてしまっていたのだ。

人間が小さい男である。

金さんに伝えられなかった事が非常に心残りだが、

また会えたらいいなぁ、と心から思っている。




金さんが中国に帰国してから、3ヶ月が経った。

金さんは今何をやっているのだろうか。

中国でも弁当屋をやっていたりするのだろうか。

もしそうならこれほど嬉しい事はない。

仮に違う仕事をしているにしても、金さんの人柄なら大丈夫。

きっとうまくやっているに違いない。




「いらしゃいませ!からあげ弁当いっちょうね!」




彼がいなくなってからも、このお店に入る度に

金さんの元気で明るい声が聞こえてくるような、そんな気がしてならない。



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