上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 
 
 
 
ある日、うちの会社に飛び込みで営業マンがやってきた。

話を聞くと防犯や警報等のセキュリティ系の会社のようだった。

めんどくさいのがやってきたなぁ、と思いつつ奥の部屋にいる社長に事の次第を伝えた。




「社長、今●●セキュリティサービスの方が営業にいらしているのですが」


「ん?いないって言っておいて」




うちの社長は、飛び込み営業を全く相手にしない人だった。

出て行くとめんどくさくなる事を知っているからである。

私は再度窓口に戻り社長が不在なので帰るよう営業マンに伝えた。




「そうですか…ではまた日を改めてお伺い致します」




そう言うと、営業マンは商品のカタログを私に渡して帰っていった。

彼のがっくりと肩を落とした後ろ姿はなんとも寂しげであった。

しかし、いまどき飛び込み営業とは原始的すぎやしないか

このやり方で契約が取れているのだろうか。

私は営業マンの背中を見ながらそんな事を思った。

バブル時期のような羽振りの良い時代には契約も取れていたのであろうが、

このご時世だ。どこの馬の骨かもわからんような企業と多額の契約を取り交わす会社など

あるはずもない。





おそらく彼は一日に何度も何度も門前払いをくらい、契約が取れなければ上司から怒られ、

休みもなく、家に帰れば奥さんから給料が少ねぇだなんだと愚痴愚痴言われているに違いない。

私は、貰ったカタログを見つめながら涙がこぼれそうになった。




「帰った?」




振り返ると、いつの間にか私の後ろに社長が立っていた。




「あ、はい。カタログを置いて帰られました」


「そう、なんて言うセキュリティ会社だったっけ?」


「えーっと、●●セキュリティってところですね」



私は、そう言いながら貰ったカタログを社長に手渡した。

すると、社長はパラパラとカタログを見ながら突然こんな事を言い放った。






「今晩は戸締りに気を付けないとな」






私は最初、この言葉の意味がわからなかった。

一体この人は何を言っているんだろう、そう思っていた。

しかし、社長が私を見てニヤリとしたところで、ハッとした。

社長は笑いながら「冗談冗談」と言っていたが、

私はしばらく開いた口が塞がらなかった。




スポンサーサイト
TOP
●トナリグミ  ●Author→組長

  ●Designed by MACAREO
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。