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コピペミドル。


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小学生の時、同じクラスにノン君という生徒がいました。


絵がとても上手な子で、休み時間や放課後によく空の絵を描いていました。


彼の抜けるような色遣いに、私も子供心ながら驚かされた事をよく覚えています。


ただ一方でノン君は、足し算、引き算の計算や、


会話のテンポが少し遅い子でもありました。


話し自体は普通に出来るのですが、よく言葉に詰まったりするような子でした。


私達の担任、ナオコ先生は、どんな授業でもノン君の事を気遣う事はありませんでした。


解くのが難しいだろうとわかっていても、算数の問題をやらせたり、国語の時間では


言葉が詰まるとわかっていても、彼に朗読させたのです。


ノン君は汗をかきながらも、先生の問いに答えようといつも必死で取組んでいました。


周りの生徒は、そんなノン君の姿を見て笑うのです。


ナオコ先生は、ノン君の答えが出るまで、最後までやりきるまで待っていました。






私たちが小学6年生になる前、ナオコ先生は違う学校へ転任する事になりました。


全校集会でナオコ先生のお別れ会をやることになったのですが、


その時生徒代表でお別れの言葉を贈ったのが、ノン君だったです。


私は、ノン君の言葉を忘れません。






ナオコ先生…


今までぼくを、普通の子と一緒に勉強させてくれてありがとうございました。


クラスのみんなには迷惑を…かけちゃったけど…


本当に、本当に嬉しかったです…







ノン君は、水彩画で絵の具の色の使い方を教えてくれたこと。


放課後つきっきりでそろばんを勉強させてくれたこと。


今まで先生と歩んできた3年間の思い出、感謝の気持ちを


言葉に詰まりながらも、ゆっくり、言葉を噛みしめるように先生に贈りました。


彼が話している間、おしゃべりをする生徒は一人もいませんでした。


もちろん笑っている子なんていません。


唯一、体育館に響いていたのは


ナオコ先生がぶるぶる震えながら、嗚咽をくいしばる声でした。






そして、式の最後。


ナオコ先生はノン君から贈られた言葉を受けて、みんなに


こんな言葉を残してくれました。






もしかしたら、みんなはまだ見たことが無いかもしれない。


ユトリロっていう、フランス人の画家なんだけど、街や風景をたくさん描いた人でね、


特に空が綺麗なんだよ。


ノン君の絵は、ユトリロの絵に似ているんですよ。


ノン君は、その才能の代わりに、他の持ち物がみんなと比べて少ない。


だけど、決して取り戻せない物ではないのです。


そして、ノン君はそれを一生懸命自分のものにしようしています。


これは、簡単なことじゃありません。







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ナオコ先生は今、ある小学校で校長先生をしています。先生は


教員が少なく子供達が家から2時間ほどかけて登校しなければならないような過疎地へ


自ら望んで赴任されたそうです。


一方、ノン君はその後、


公立の中学校・高校を経て、美大に進学し絵の勉強を続けているそうです。


ナオコ先生の家には、毎年夏にノン君から絵が届くそうです。


空を描いた絵が多いそうなのですがその空はナオコ先生が作り方を教えた


美しいエメラルドグリーンで描かれているそうです。




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(終)
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