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コピペミドル。


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ある会社の受付に、年老いたおばあさんがたずねて来た。




「ちょっとお聞きしたいのですが…」


「はい、どういったご用件でしょうか?」


「あのですね。この会社にコミヤマダ ゴロウという男が
               働いていると思うのですが」


「はい、確かにコミヤマダはうちの社員です」


「あぁ良かった!
     できたらちょっと面会させてもらいたいのですが」


「はい、それでは今から小宮山田の予定を確認してまいりますので
  少々お待ち下さい。大変恐縮ですがお客様のお名前を頂戴しても
                               よろしいでしょうか?」


「はい、私は『小宮山田 トメ子』と言います。ゴロウの祖母です。」


「あぁ、そうでしたか。いつもお世話になっております!」


「いえいえ、こちらこそ。
       五郎は迷惑を掛けてはおりませんでしょうか?」


「おばあさま、大丈夫ですよ。今確認してまいりますので
                    少々お待ちください」


「はい、お願いします」






5分後。






「大変お待たせいたしました…」


「どうでしたか?」


「いや、それが、お、おばあさま…大変申し上げにくいのですが
         小宮山田は本日お休みを頂いておりまして…」


「あぁ、そうでしたか。いいんですいいんです。
   近くに来たついでに孫の顔でも見ようと思っただけですから。」


「も、申し訳ございません。」


「やめて下さい。そんなに謝らんで下さい。あぁそうそう、これ、皆さんで食べて下さい。
             地元の和菓子でね。すごくおいしいんですよ。どうぞ、どうぞ!」


「ああ、ご丁寧にありがとうございます。」


「時間とらせてすまなかったね。」


「いえいえ…。」


「じゃあ、失礼します」


「あ、ありがとうございました」






おばあさんは入り口の自動ドアを通り帰って行った。


近くに寄っただけと気丈に振舞っていた小宮山田のおばあさんであったが、


やはり孫の顔が見れなかった事が残念だったのだろう。


彼女の背中はなんとも寂しげであった。


小宮山田は休みだった。


予定表にも休みと書いてあり、


同じブースの社員に聞いても小宮山田が休みである事は周知であった。


それは紛れもない事実である。


しかし、受付嬢である彼女は、一つ重大な事をおばあさんに隠していた。




それは、小宮山田の休んだ理由が祖母の通夜だった、という事だ。




つまり、受付が対応したおばあさんは、


本来棺おけに入っていなければいけない人。だったのである。


受付嬢は、折角きてくれたおばあさんが難儀でならなかった。


菓子折りまで持って、わざわざ足を運んでくれたおばあさんが、


かわいそうでならなかった。


小宮山田社員は翌日も休みをとっていた。


もちろん、


通夜の次は葬式である。






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(終)
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