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ロング。(※食事中の方要注意)


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先日の事。
私は仕事の昼休みにある蕎麦(そば)屋に寄った。普段であればコンビニの弁当で昼食を済ませてしまうのだが、たまには体に良さそうなものを体に入れないといけない。お腹回りでたぷたぷしているお肉も気になるし、今日はヘルシーなランチにしようという思いからであった。


お店は、カウンター席が10席と2人がけのテーブル席が4つ。誰のものか全くわからないサイン色紙が数枚壁に貼られている。小奇麗な印象はあるものの、ノーマル以外の言葉浮かばないほどノーマルな蕎麦屋であった。


お昼時と言う事もあり現場作業員やスーツ姿のサラリーマンなどでほぼ満席の状態であった。私は、軽く店内の状況を見た後、店の奥の空いているカウンター席に腰掛け手書きのメニューを手に取り、注文をお願いした。その後、カウンターの隅に置いてあったスポーツ新聞を広げ芸能欄を見たり、すでに注文は済んでいるがメニューとにらめっこしたりしていた。


すると、私の背後のテーブル席にいたおじさんがおもむろにシーハーシーハーやりはじめた。女性の方はあまり経験ないと思うのだが、男性は食事が終わるとつま楊枝で歯に詰まったものを取り、シーハーシーハーやるのが通例なのである。気になった私はパッと後ろを振り返って、そのおじさんを見た。年の頃で60歳くらいだろうか。紺色の長袖のポロシャツに薄汚いスラックス。脳天のところに浅く野球帽をかぶっている。仕事をしている感じでもなく、かと言って放浪者とも言い切れない。何というか、ギリギリ感のあるおじさんだった。


「シー、シー、、、チッ、シーシー」


おじさんのシーハーはしばらく続いた。私も同様の行為をしないわけではないが、店にいる客全員に聞こえるくらい音をたてたりはしない。そのおじさんのシーハーは異常にうるさかった。


「チッ、チッ、シーシー、、、チッシーチッシー」


デリカシーもへったくれもないおじさんのシーハーは、耳障り以外のなにものでもなかった。料理を口にしていた他の客も迷惑そうにチラチラおじさんの方を見ていた。おそらく店内にいた全員が「食べ終わったのなら早く帰りなさいよ」と思っていたに違いない。そして、しばらくシーハーが続いた後


「お勘定」


そう言うと、おじさんは立上り帰り支度を始めた。その声を聞いた店内は一様に安堵した。やっとシーハーから開放される。落ち着いてお昼ご飯が食べられる。そんな雰囲気だった。しかし、次の瞬間信じられない音が私の耳に飛び込んできた。




く、ごぉぅわぁぁぁぁっ、ごわぐぅぉぉう




店内に響き渡ったその轟音は、おじさんが喉の奥からタンを集め出す音だった。おじさんは、集めたソレを出すでもなく飲み込むでもなく口の中でステイ。何食わぬ顔で会計を済ませ、ソレを口にしたまま店を後にした。おじさんが帰るという安堵感に包まれていた店内が一転おじさんが店を出た後も非常に汚物感の残る雰囲気に包まれた。


その後、まるでタイミングを見計らったかのように私の注文した料理が出されたのだが、行き先のわからないタンの音を聞いたあとでの「とろろ定食」は、さすがの私でもきつかった。




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(終)
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