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車の中で鼻をほじっていた。

右手はハンドルを握り、左手は鼻をほじほじとやっていた。

すると、すぐに鼻くそがとれた。

花粉が舞う季節だからなのか、通常の鼻くそと比べ触った感じが違う。

ねちょねちょしておらず、非常にまるっとしている感触だ。

例えるならマシュマロをちぎって指先でハフハフしているような感覚。

おそらく花粉パウダーが塩梅良く含まれているからなのだろう。

非常にこねやすい鼻くそだ。

しかも驚くほど白い。

しばらくの間、私はその鼻くそこねていた。

大事に大事にこねた。



Shall we dance?



気付くと私の人差し指と親指は、鼻くそを優しくエスコートしていた。

まるで社交ダンスでも踊っているかのような様だ。

指先に身を預け優雅に回る鼻くそ。

時に人差し指、時に親指。

鼻くそは人差し指と親指の間を行ったり来たり。

大胆に、そして妖艶に鼻くそが舞う。

それにしても、なんと美しい鼻くそなのか。



私は今まで、これほどまでに白く、そして美しい鼻くそに出会った事がない。

通常、私の鼻から出てくる鼻くそは、薄ら茶色い容姿で且つウェッティなものが多い。

こねる事もあるにはあるのだが、べとつきがひどく大抵はティッシュに丸めてポイだ。

しかしこれは違う。

マシュマロのような弾力。

しつこすぎない粘着感。まとまりやすさ。

そして、思わず見とれてしまう色の白さ。

見事に丸みを帯びたその容姿には、気品すら感じさせた。

そこで私はこう思った。

これはもはや「くそ」ではない、と。

鼻腔から生み出された奇跡のナニカ。

気を抜くとパクッと食べてしまいそうになるナニカ。



目的地に着き駐車場に車を停めた私は、

人差し指と親指に優しく包まれているナニカを見つめ

「楽しかったよ」と囁いた。

すると、

ナニカは照れくさそうに微笑んだ。

ナニカを胸ポケットにしまい車を降りると、

肌触りのよい風がふわりと私の頬をなでた。

私にも「春」が訪れた瞬間だった。

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●トナリグミ  ●Author→組長

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