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私が山にこもりはじめてから半年が経とうとしていた。

最初は青々と茂っていた木々も、今ではすっかり紅く染まり、

私を暖かく包み込んでくれていた風も、

肌を刺すような冷たい北風へと変わっていった。

しかし、

待てど暮らせど、『あいつ』が私の前に現れる事はなかった。

あいつを探す手がかりは、時折聞こえてくる声だけ。

私はその声だけを頼りにこの半年間彷徨い続けた。

いつ聞こえてくるとも知れない声を辿る日々。




そして今日。

私にチャンスが訪れていた。

今まで聞こえた中で一番大きな声が耳に届いたのだ。

まだ日も昇りきってない時間である。

私の鼓動は一気に沸騰した。

近い。限りなく近い。

私は、あいつが近くにいる事を確信した。

飛び出したい気持ちを必死に堪え

音をたてないようゆっくりテントから身をのり出した。

息を殺し周囲をじっくり見渡す。

声はすでに途切れていたが、

目を細めるとケヤキの枝に黒い影が見えた。

間違いない。

あいつだ。

絶対…いや、まだだ。

あいつの姿をはっきり確認するまでは終われない。

私はテントから双眼鏡を取り出し

レンズを覗き込んだ。

すると、

さっき影が見えた場所に姿はなく

そのかわり透き通るようなあいつの鳴き声が

私の脳に響いたのだった。






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