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大学2年の春。

新歓コンパで飲みすぎてしまった僕は、激しい二日酔いに襲われていました。

なんとか午前中の講義は受けたものの、

身体ともに限界に達していた僕は午後から早退する事にしたのです。

キャンバスのベンチに力なく腰掛け帰り支度をしていると、

午後の授業を一緒に受ける予定だったユウ君がやってきました。



「どした?」

「昨日の飲み会で二日酔いになっちゃってさ」

「顔が真っ青だぞ」

「まじか」

「つーか早く帰れよ、後でノート見せてやるから」

「悪い。助かるわ」

「じゃあ、はい。」

「何?その手は」

「100円」

「え?」

「後でノート見せる代だよ。100円くれよ、はよ」

「金取んのかいw」



僕はユウ君にしぶしぶ100円を渡した後バイクで家路につきました。

家に着くと僕は玄関ドアを開けた勢いのまま布団に倒れこみました。

1時間くらい吐き気や頭痛で寝付けなかったのですが、

それが落ち着くと落ちるように眠りにつきました。

ピンポーン。

2~3時間経ったあたりでしょうか、アパートのインターホンが鳴る音が聞こえました。

誰だろう。

重たい体を起こしドアを開けると、そこには誰もいませんでした。

身を乗り出し左右を見ても誰もいません。

下を見ると、一匹のウサギがいます。

丸くて白いウサギです。

ウサギはなぜか僕の周りを離れようせず、逆にかまって欲しいような感じでゆっくりピョンピョンしています。

直感的に誰かにいたずらされている気がしたのですが、僕はウサギを抱き上げてみました。

ウサギは人間に慣れているらしく大人しく私に抱かせてくれました。

僕は思わずウサギにこう問いかけました。

「ピンポンを押したのは君かい?」

すると、うさぎは「僕、何も知らないよ」という表情で鼻をヒクヒクさせました。

とてもかわいいです。

モコモコした毛で耳の垂れている愛嬌のある奴です。

しかし、ピンポンを押したのは誰なんでしょうか。

僕は、うさぎを抱っこしたままアパートの裏へまわってみました。

ウサギは大人しく僕に抱かっています。

アパートの裏に行くと、自転車置場のところに見覚えのある顔がいました。

そこには、さっき大学で別れたはずのユウくんがいました。


「そいつ、チャッピーって言うんだ」


そう言うと、ユウ君はパンパンにふくれたビニール袋を私に差し出しました。


「それは、まぁ、なんつーかアレだ。お前が買い物に行けないだろうと思ってさ」


手渡されたビニール袋を覗き込むと、中には栄養ドリンク、パンやお弁当など

袋に入りきらないほど詰まっていました。

私はそれを見た瞬間、思わず泣きそうになってしまいました。


「悪かったな。突然来ちゃって」

「来るなら電話くらいよこせよ」

「すまんwいるのわかってたからさ」

「このウサギは…」

「あぁ、チャッピー君だよ。」

「それはさっき聞いたよ。」

「ああ、そうかw」

「飼ってんの?」

「うん、かわいいだろ?」

「おう、すげーかわいい」


抱っこしていたチャッピーの方を見ると、

チャッピーは無邪気な顔で鼻をヒクヒクさせています。

あまりのかわいさに僕はチャッピーの鼻を指でツンしました。

するとチャッピーは足をピコピコとぱたつかせました。

本当にかわいい奴です。

ユウくんは自転車の後ろにくくりつけてあったゲージに優しくチャッピーを入れました。


「あ、お金」

「ん?」

「これの金払うよ」


僕は食べ物がたくさん入ったビニール袋を指差しました。


「あぁ、いいよ。」

「でも結構かかったろ」

「だってもう貰ってるから、お金」



ユウくんはそう言うと、ポケットから100円玉を取り出し僕に見せました。


「さっき学校でもらったろ?ちょっとおまけを付けてるけどなw」

「おまけって、お前。多すぎだろ」

「へへ。じゃあ明日学校でな」

「おう、ほんとありがとな」


ユウくんが自転車をこぎだすと、後ろのゲージからチャッピーの白いお尻が見えました。

「また会おうな。チャッピー」


rbbthm.jpg


それから1年後。

僕とユウ君は一緒に暮らしています。

(終)
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●トナリグミ  ●Author→組長

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