上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 
 
 
ラブホテルの雨漏り調査に来た私は

ホテルの一室に一人だった。

仕事そっちのけで室内を物色し

最後にはきれいにベットメーキングされている

ベッドにダイブしてしまうのだった。




私のすべてを受け入れてくれたベッド。

スベスベした肌触りとふわふわと柔らかい感触が私の体を包んだ。

飛び込んだ時の感触がたまらなく気持ちよかったので

私はその後、何度もベッドにダイブした。

そして、ベッドに顔をうずめ洗剤の香りを堪能していると

扉をノックする音が聞こえた。



「あの、すいません」



ベッドからすぐさま立ち上がり扉を開けると

年配の女性が立っていた。

ベッドメーキングの人だろうか。

女性は窓から駐車場を指差しこう続けた。

「あの車は業者さんのですか?」

見ると私の車が見えた。

運転席のドアが開いている。

全開だった。

それを見た瞬間、血の気がひいた。

ETCカードは差しっぱなし、財布も置いたまま。

その日、振込みとかもありかなりの現金が入っている。

少なくとも10万円はあったはず。



私は、女性に礼を言い急いで車に走った。

向かう途中、よからぬイメージばかりが私の中に渦巻く。

実は、この時ホテルに着いてから、40分以上も経っていたのだ。

ホテルを徘徊し、丸見えガラスで妄想を膨らませ、

ベッドにダイブした。

たったそれだけで40分も経過していたのである。



私は、楽しい時間は想像以上に早く過ぎるという事を完全に見くびっていた。

現に、ものすごく楽しかった。

鼻歌が交じるほどものっそい楽しかった。

しかし、このざまである。


車に着くと、すぐさま財布を探し始めた。

バックをひっくり返す。

他のバックをひっくり返す。

ダッシュボードを開ける。

財布なし。

どこにも財布がない。



ぬっぺりした汗が、噴き出してくる。

ぶっちゃけ涙ぐんでいた。

「落ち着け…落ち着け俺。」

涙をこぼしながらも、自分にそう言い聞かせる。

こういう時こそ冷静にならないといけない。

私は、探す手を止めてしばらく考える事にした。

時系列的に、ここに着いてからここを離れるまでを整理していこう。

そうすれば、何かに気づくかもしれない。




13:15 ホテル到着

13:20 オーナーさんと部屋で打合せ開始

13:30 打ち合わせ終了

13:35 丸見えガラスで遊びはじめる

13:45 部屋を徘徊し始める

14:55 ベッドにダイブ


まさか…

私は、3階の部屋に戻った。

ベッド付近をくまなく探す。

ベッドの下を覗き込む。

するとベッドを通り越し、教壇の足が見えた。

その付近に、黒い塊を発見。

私はその黒い塊を手に取り、そのままへたり込んだ。

「よかったあ」

何とも言えない安堵の感情がこみ上げてくる。

財布はベッドにあった。

正確には私のケツポケットの中にあった。

何度もベッドに飛び込んだ衝撃で、飛び出してしまったのだ。



私は、それを境に再度仕事モードに頭を切り替え雨漏り調査をこなした。

途中、レンタル衣装的なものが入っている箱を発見した時にもの凄くいじりたい衝動にかられたが、

何とか切り抜け無事、雨漏り調査は終了した。



「見積りは後日、FAXさせて頂きますので」


そう受付に伝えると、私は車に乗り込んだ。

次の現場の地図を広げ、エンジンをかける



ジュイジュイジュイ・・・・・・

ドジュイジュイジュイジュイ・・・・・




車のバッテリーが上がっていた。

(つづく)
NEW / TOP / OLD
●トナリグミ  ●Author→組長

  ●Designed by MACAREO
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。